Photo | ©Tourism and Events Queensland
幼児教育制度の発展とNQFについて
オーストラリア政府は前述のEarly Years Learning Framework (EYLF)に加えて、2012年にNational Quality Framework(以下: NQF)という幼児教育に関する新たなコンセプトを定め、Australian Children’s Education and Quality Authority(以下: ACECQA)が主体となり、質の高い教育・保育サービスの提供に取り組んでいます。
(引用:引用:Australian Children’s Education and Quality Authority(ACECQA))
この仕組みが定められた背景には、サービスの改善を始め、女性の就労機会の確保により期待される経済効果、そして犯罪率の減少など、様々な方面からの必要性が叫ばれた結果として、政府が幼児教育制度の発展に向けて、国を挙げて取り組んだという経緯があります。
NQFは、オーストラリアで提供される教育・保育サービスの統制や質的評価を行う指針となるものであり、子どもたちの安全や健康、幸福を育むとともに、教育的成果の向上や教育・保育サービスの継続的な改善を主な目的としています。内容はACECQAによって管理されており、下記のようなイメージで構成されています。
この中のNational Quality Standard(NQS)では、教育・保育サービスの運営と提供に関する7つのキーとなる指標を設定しています。
サービスを提供するチャイルドケアセンターやキンダーガーデンは、これらに沿って5段階で評価をされ、適切な幼児教育を行う基盤が整っているかどうかを客観的に判断される仕組みになっています。尚、Hello Kidsプログラムを提供しているSouthport Child Care Centre、Robina Town Child Care Centre、Mudgeeraba Early Childhood Centreでは、これらにおいていずれも高い評価を獲得しております。
このようにオーストラリアでは、国を挙げて幼児教育の質的改善が継続的に行われており、これらの取り組みや公共投資を通じて、家庭を始めとした地域社会や経済における持続的な利益を創出することを目指しているのです。
子どものアイデンティティ形成に重要な「帰属・存在・生成」
オーストラリアではEarly Years Learning Frameworkという枠組みが、生後5歳までの子どもたちの学びや、その後の小学校入学への準備段階において大切とされる原理・原則を示しています。そのベースとなる方向性として”Play-Based Learning”、つまり ”遊びを中心とした学び” に特に重きが置かれており、社会性や感情面での発達に加えて、コミュニケーションや言語スキルの重要性が掲げられています。
オーストラリア政府はこの枠組みの中で、子どもたちの幼少期におけるアイデンティティの形成に必要な3つの要素として、「帰属・存在・生成」というキーワードを挙げています。
帰 属
子どもたちは、家族やコミュニティ、文化などと関係を持つことにより、自らがそれらに帰属していることを感じる
存 在
子どもたちは、様々な遊びや新しいことへのチャレンジ、そしてそれらを楽しむための時間を有する存在である
生 成
子どもたちは、将来を形作る自分自身のアイデンティティを幼少期から形成し始める
またこの枠組みは、主に ”ゲームと遊び” を通じて子どもたちを教える、イギリスのEarly Years Foundation Stageにも似ています。日本では、幼児教育・保育の主な目的は、学習習慣や日常生活における基本的なルーティーンを学ばせるということが中心になっています。一方のオーストラリアでは、幼稚園や保育園での時間の大半は自由な遊び時間に費やされ、先生からの指示も最小限に抑えられています。
では一体、”先生による指示やコントロール中心の環境”と、”より自由な遊び中心の環境”と、どちらが優れているのでしょうか?この問いに関して、これまでにも様々な教育学者たちがそれぞれに異なる教育理論を唱えてきましたが、どちらが優れているというよりも、双方の教育システムにメリットがあると考えることが必要なのではないでしょうか。
変化の激しい現代において、正解のない幼児教育に関する学習内容や教育方針など、日本のみならず、海外を視野に入れた幼児教育方法に関する広い視野と複数の選択肢の中から、親御様のご希望と子どもたち自身に合った環境を選ぶことが何よりも大切です。
いずれにしても、もしも子どもたちがオーストラリアでの暮らしを体験することができるなら、生涯を通じて貴重な財産となる時間と、世界有数の英語教育を体験できることでしょう。
政府によるチャイルドケアサポート
オーストラリア政府は、チャイルドケアに掛かる費用の補助や様々なサポートを行っています。2018年7月2日より、新しいChild Care Subsidyが制定され、サービスを提供する企業へ政府から補助金が支給されるように法律が変更されました。こちらの補助金の受給対象となるのは、オーストラリア国内に居住している市民権保持者や永住権保持者を始め、オーストラリア政府によって特別に許可されているその他のビザ保持者に限られます。
また、家計全体の課税所得や利用するチャイルドケアサービスの種類などによっても、適用される金額が異なります。このシステムは、それまでのChild Care BenefitやChild Care Rebateなどの補助金を提供していた旧制度に変わる新しい仕組みとなっていますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご相談下さい。
目 次
国際色溢れるインターナショナルな環境
国際的に競争優位な幼児教育システム
欧米諸国よりも経済的な生活コスト
幼児の脳の発達に有効な英語学習
子どもたちはみんなオーストラリアが大好き
クリエイティビティが向上する
自己肯定感が高まる
新しいスキルが身に付く
日本への感謝の想いが深まる
「褒めた理由を伝える」
「リスクをとらせる」
「子ども自身に判断をさせる」
「お手伝いをさせる」
「子どもの好奇心を解放する」
チェックリスト
日本と西洋の子供たちとの比較
高まる”遊びと幼児教育”の重要性
「2035年」の世界で求められるもの
オーストラリアの幼児教育が注目されている理由
政府による教育・サービス品質の確保
幼児教育制度の発展とNQFについて
子どものアイデンティティ形成に重要な「帰属・存在・生成」
政府によるチャイルドケアサポート
日本の幼稚園・保育園との違い
子どもの個性とチャレンジを大切にするアプローチ
オーストラリアの幼稚園や保育園の仕組み
その他のチャイルドケアサービスの種類
オーストラリアの義務教育・高等教育
年代別の教育制度と義務教育について
プライマリースクール(小学校)が始まるタイミングは?
National Quality Standard
① NQSを構成する7つの領域
② 評価制度と品質の格付け
③ 各Quality Areaについて
EYLF(Early Years Learning Framework)
① EYLFとは
② 中心となるコンセプト
③ フレームワークの構成要素
④ 5つの原則
⑤ 実践プロセス
⑥ 期待される学習成果
Certificate Ⅲ(概要)
① 概要
② 学習コースへの参加要件
③ コースに含まれる学習項目
Diploma(概要)
① 概要
② 学習コースへの参加要件
③ コースに含まれる学習項目
オーストラリアにおけるチャイルドケア事業発展の背景
① 社会インフラとして位置付けられたチャイルドケア事業
投資観点から見るチャイルドケア事業
① チャイルドケア事業の概要
② 投資家がチャイルドケア事業買収へ投融資を行った際の投資フロー
③ オーストラリアにおけるリース担保事情
④ 買収資金貸付、担保設定、利息支払いフロー
⑤ チャイルドケア事業買収契約と譲渡のフロー
⑥ チャイルドケア事業に関わるメンバープロファイル
⑦ 運営中のチャイルドケア事業のご紹介
⑧ チャイルドケア事業の主なリスク
業界の現状と今後の見通し
① チャイルドケアビジネスの現状
② 市場に影響を与え得る主な外部要因
③ 業界における企業形態
④ 需要の決定要因
⑤ ビジネスを成功させるためのポイント
⑥ 業界の今後の動向
Play & Learnとは
Play& Learnの教育アプローチとその適用事例
レッジョ・エミリア・アプローチの特徴
レッジョ・エミリア・アプローチの哲学
オーストラリアのレッジョ・エミリア
レッジョ・エミリアで用いられる原則とその適用事例
THRASSとは
THRASSの有効性とその適用事例
親子留学プログラム「Hello Kids」
「Hello Kids」とは
現地センターのご紹介
センターでの1日の過ごし方
先生の子どもへの接し方に関する日本との違い
コレクティブな遊びと学び
現地でのおすすめアクティビティ
Triple Pとは?
ポジティブな子育てのための5つのステップ