トリプルPとは?
トリプルPは、親向けに開発されたオーストラリア発祥の子育て支援プログラムです。
「Positive Parenting Program」の略称からこの名前が付けられており、子供を育てる家庭における日々の生活をより楽しく過ごすために、というコンセプトがベースになっています。子どもに幸せになって欲しい、自信に満ち溢れた子どもに育てたい、親御様ならばきっとそな想いをお持ちではないでしょうか。
トリプルPでは、そのための効果的な育児の考え方だけでなく、親を含む家族全員がより人生を楽しみ、幸せを感じられるような家庭での習慣づくりやルールの設け方、親が自分自身を大切にすることの重要性などを説いています。
トリプルPはこれまでに、アメリカ、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ベルギー、日本、イラン、シンガポール、オランダ、ドイツ、キュラソー、ルーマニア、スイス、オーストリア、スウェーデンなど、世界中の国々で使用されています。さらに21の言語に翻訳され、400万人以上の子どもたちとその家族において実践されています。
ユニークな特徴としては、専門家によるさまざまなケースを想定したプログラムが用意されている点が挙げられます。例えば、Stepping Stones Triple P(障害を持つ子どもの親向け)、Lifestyle Triple P(肥満を抱える子どもの親向け)、Family Transitions Triple P(離婚や別居を経験した親向け)、先住民に焦点を当てたさまざまなレベルのTriple P(先住民の家族向け)など、多岐に渡ります。
過去何十年にもわたる厳密かつ継続的な科学的研究の結果、トリプルP - ポジティブ・ペアレンティング・プログラム®は、現在、世界で最も効果的な子育てプログラムの1つとみなされています。
実際に、プログラムの背景にある研究の歴史と蓄積されたエビデンスがUnited nations(国際連合)に高く評価され、トリプルPは世界で最も効果的な子育てプログラムとして位置づけられているのです。
トリプルPは、子どもや10代の若者による問題のある行動を減らし、彼らの感情的な問題を低減させるのに有効であることが示されています。また、親が自信を持ち、ストレスを減らし、怒りや鬱のような感情を軽減することも証明されています。
ポジティブな子育てのための5つのステップ
トリプルPは、子育てを楽しく、よりシンプルにするために効果的な方法です。良好な人間関係を築き、積極的なコミュニケーションを促すことができます。また、トリプルPは子どもたちの自然な行動を促しつつも、感情を損なわず、成長を促進させることができます。
こうしてポジティブな育児を行うことで、親自身が子育てに自信が持てるようになり、ストレスが減るのです。
夫婦間でのトラブルさえ減ることも期待できます。また、ポジティブな育児環境で育つ子どもたちは、学校などの外部環境にもすんなりと順応することができるようになり、友達も難なく作ることができるでしょう。彼らは自分自身にしっかりと自信を持っているため、大人になってから行動面や感情面に問題を抱える可能性が低くな流ことも明らかになっています。
さて、ここではトリプルPのポジティブな育児の基本となる、5つの原則をご紹介します。これらの原則は、あらゆる年代の子どもたちに適用することが可能です。
① 安全かつ子どもたちに刺激的な環境を与える
子どもは退屈を感じるといたずらをしたり、トラブルを起こすことが多くなりがちです。彼らの安全を確保しつつも、スキルを向上させることができるような刺激的な体験をできる環境を与える必要があります。
② 積極的な学習
子どもたちがあなたに何か訴えてきたり、おしゃべりをしに来たりしたら、彼らは学ぶ準備ができているということです。たとえ1分程度であっても、彼らに積極的に寄り添い、心から関心を持って耳を傾け、彼らのアイデアや意見をしっかりと理解してあげることが大切です。
③ 明確なしつけやルール決めを行う
家庭内においても、明確なルールやこれはしても良いという境界線をしっかりと設定し、子どもたちに対して公平性を保ちながら、育児を行いましょう。大人だけでこれらを設定するのではなく、子どもたち自身としっかりと話し合い、ルールを決めることも大変効果的です。
④ 適切なレベルの期待を持つ
子どもにも大人も、完璧な人間は存在しません。子どもたちに彼らのその時点での能力以上(または以下)のことを期待しすぎないようにしましょう。また、人は誰でも時には間違いを犯すこともしっかりと心に留めておく必要があります。
⑤ 親としての自分を大切にする
育児において大切なのは、バランスです。親は自分自身のニーズにも忘れずにしっかりと気を配る必要があります。周囲からのサポートに頼ったり、友人と過ごすなど、自分の時間も確保できるようにするための工夫も大変重要です。
これらのトリプルPのアプローチは、幼児教育に関わる教育者のみならず幅広い職業や場面で活用されています。医師や看護師、そして心理学者やカウンセラー、教師、警察官、ソーシャルワーカー、聖職者など、幅広い分野で役に立つことでしょう。
目 次
国際色溢れるインターナショナルな環境
国際的に競争優位な幼児教育システム
欧米諸国よりも経済的な生活コスト
幼児の脳の発達に有効な英語学習
子どもたちはみんなオーストラリアが大好き
クリエイティビティが向上する
自己肯定感が高まる
新しいスキルが身に付く
日本への感謝の想いが深まる
「褒めた理由を伝える」
「リスクをとらせる」
「子ども自身に判断をさせる」
「お手伝いをさせる」
「子どもの好奇心を解放する」
チェックリスト
日本と西洋の子供たちとの比較
高まる”遊びと幼児教育”の重要性
「2035年」の世界で求められるもの
オーストラリアの幼児教育が注目されている理由
政府による教育・サービス品質の確保
幼児教育制度の発展とNQFについて
子どものアイデンティティ形成に重要な「帰属・存在・生成」
政府によるチャイルドケアサポート
日本の幼稚園・保育園との違い
子どもの個性とチャレンジを大切にするアプローチ
オーストラリアの幼稚園や保育園の仕組み
その他のチャイルドケアサービスの種類
オーストラリアの義務教育・高等教育
年代別の教育制度と義務教育について
プライマリースクール(小学校)が始まるタイミングは?
National Quality Standard
① NQSを構成する7つの領域
② 評価制度と品質の格付け
③ 各Quality Areaについて
EYLF(Early Years Learning Framework)
① EYLFとは
② 中心となるコンセプト
③ フレームワークの構成要素
④ 5つの原則
⑤ 実践プロセス
⑥ 期待される学習成果
Certificate Ⅲ(概要)
① 概要
② 学習コースへの参加要件
③ コースに含まれる学習項目
Diploma(概要)
① 概要
② 学習コースへの参加要件
③ コースに含まれる学習項目
オーストラリアにおけるチャイルドケア事業発展の背景
① 社会インフラとして位置付けられたチャイルドケア事業
投資観点から見るチャイルドケア事業
① チャイルドケア事業の概要
② 投資家がチャイルドケア事業買収へ投融資を行った際の投資フロー
③ オーストラリアにおけるリース担保事情
④ 買収資金貸付、担保設定、利息支払いフロー
⑤ チャイルドケア事業買収契約と譲渡のフロー
⑥ チャイルドケア事業に関わるメンバープロファイル
⑦ 運営中のチャイルドケア事業のご紹介
⑧ チャイルドケア事業の主なリスク
業界の現状と今後の見通し
① チャイルドケアビジネスの現状
② 市場に影響を与え得る主な外部要因
③ 業界における企業形態
④ 需要の決定要因
⑤ ビジネスを成功させるためのポイント
⑥ 業界の今後の動向
Play & Learnとは
Play& Learnの教育アプローチとその適用事例
レッジョ・エミリア・アプローチの特徴
レッジョ・エミリア・アプローチの哲学
オーストラリアのレッジョ・エミリア
レッジョ・エミリアで用いられる原則とその適用事例
THRASSとは
THRASSの有効性とその適用事例
親子留学プログラム「Hello Kids」
「Hello Kids」とは
現地センターのご紹介
センターでの1日の過ごし方
先生の子どもへの接し方に関する日本との違い
コレクティブな遊びと学び
現地でのおすすめアクティビティ
Triple Pとは?
ポジティブな子育てのための5つのステップ